上田一輝|Ikki Ueda

「東南アジア」「海外旅行」「マーケケティング」を中心に発信。ベトナム・ハノイのマーケター/留学・海外大学進学のコンサルティング/旅人

「3年住んでみた感じたシンガポールのリアルなマーケット実情」とは

シンガポール市場はここ数年で大きく変化した

私がシンガポールに来星したのは2020年3月末で約今から3年前ほどになります。この時期はちょうどコロナウイルス(コロナ)が発生し始めた時期で、この頃からシンガポールもサーキットブレーク、ロックダウンなど隔離対策が始まりました。

そのため普段は賑わっているマーライオン付近も、今では見られないほど閑散としている時期(1枚目)でしたので現在のもの(2枚目)と比較してみましょう、、!

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それに伴って国内のマーケット(今回のテーマは不動産、就職)も物凄く変化していったことを肌で感じたため、そういった変化を忖度抜きで色々共有していきたいと思います。

そしてこちらの変化にアンテナを貼ることは、シンガポールのみならず海外移住全般をする適切なタイミングと見分け方に繋げられることもできます。

そのため「海外移住や海外就職を考えていて国選びに迷っている方またはボヤッと海外がいいなと思っている方」に特に読んでもらいたいコンテンツとなっています。また不動産と就職のそれぞれの市場のトレンド(マクロレベル)と個人の経験(ミクロレベル)を組み合わせたので、より理解しやすいように記載しました。

[ これまでのシンガポールマーケット関連記事✨ ]

ikkiu.hatenablog.com

 
 

テーマ1 不動産

前提としてシンガポールにおけるコロナ渦の不動産市場の変化は下記となっています。

総合民間住宅賃貸指数は2022年第3四半期は前年同期比と比べて23.9%増
コンドミニアムの指標においても同23.9%増

シンガポール都市再開発庁(URA)

 

020年8月にPasir Risというイースト側(チャンギ空港寄り)の2部屋のコンドミニアムを借りていました。その時の家賃はS$2200(1ドル100円計算で22万円ほど)でして、そこには1年半月ほど住んで契約を終了して、次の方に貸し出した値段はS$3000(2021年12月)となっていました。

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なので1年半後に同じところを借りようとするだけでS$800(約8万円ほど)も高い価格となっているのは驚きでしたが、価格上昇はまだまだ始まったばかりでした、、

それから1年過ぎが経った現在の2023年2月では同じ部屋ではないですが、同じ部屋数で同一のコンドミニアムの家賃はS$3700~4100になっているようです(23年2月時点) 

https://www.propertyguru.com.sg/property-for-rent?market=residential&property_id=20854&freetext=The+Palette&listing_type=rent&beds=2&search=true

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━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━          上記のサマリー
2020年8月:S$2200→ 2021年12月:S$3000            →2023年2月:S$3700~4100

*2023年2月のみの値段は同一のユニットではなく同じコンドミニアムの同じ部屋数のもの
*具体的な家賃の数値上昇を示したいというよりは、あくまで価格上昇がどれくらいかの傾向を示すことが目的━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

しかし私がシンガポールに来た2020年当初コロナが始まった直後はこれから国内に来る外国人は減ってくるので不動産市場も沈んでいくので、不動産価格はこれから下がっていくだろうと論じているメディアもありました。

ただ時間を置いて検証してみると、
コロナが落ち着き始めた22年からはどんどん優秀な方が移住し始めて、不動産のニーズも高まって価格も上昇していきました。

このことからも改めて不動産のみならず市場のトレンドを読むのは簡単ではないと身に染みて実感しました、、


また不動産価格が上がり始めるとそれに伴って売りて市場(借主>オーナー)から買い手市場(オーナー>借主)になっていくのも感じ取れました。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━         2020年当初 
前提: 多くの物件が余っている
→ 1 オーナーは家賃交渉をしてくる人がいても住人を見つけようとした
  2 数多くの物件があるので選びやすい環境だった

2022年以降
前提:オーナーが住んでくれる人を選べ状態になり物件の希少性が上がった
→ 1 単身用のスタジオユニットの共有が減った
  2 シェアハウスなどは性別や年齢の条件がやや厳しくなった(例:女性限定など)
  3 オーナーが以前よりも値段交渉に応じにくくなった
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ここでの結論は世間的にこの国はいいと認識され始めたら多くの人が移住しようとする→ それに伴って不動産価格(賃貸)も吊り上がりやすいということです。

またシンガポールの場合は国土が狭く不動産数や供給に制限がかかりやすいので、そういった内部要因も関係ありそうです。

最後に日本人の集まりに行くときにはほぼ必ず家賃の引き上げのお話が出るほど、短かなタイムリーなテーマとなっています。ただ日本にいるとどうしてもリアリティを持ってこういった事情が入りにくいので、ここで少しでも伝われば嬉しいです笑

テーマ2 就職

以前の記事で紹介もしましたが、下記のようにシンガポールでの就労ビザは大きな変更がありました。

シンガポールでは2020年から22年の間でも複数回就労ビザ(EP)の基準が上がって、現在(2023年2月)の最低月額給与はS$5,000。                                          シンガポール就労ビザ|GPC

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つまり要約すると、

1 コロナ禍でシンガポールで就職するための最低賃金がアップ 
→ 2 以前よりも多くの給料を支払ってくれる企業を選ぶ必要がある 
→  3 その給料をもらうだけの個人のスキルや経験がより求められる      (就職の難易度がアップ)
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まず遡ること私がシンガポール渡航をした2020年当初は外国人が働きにくる総数が少なかったので、就職市場はどちらかというと売り手市場でした。そのため就職エージェントサイトの方に相談する際は、大してスキルもない新卒の私でさえもいくつかの求人を紹介されて仕事を選べる状態でした。

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しかし時が過ぎること2022年9月になると最低月額給与はS$5,000(1ドル100円計算で50万円ほど)となって、私が移住した20年3月の基準S$3,600(36万円)と比較してS$1400もアップしました。個人的にはどうもこの辺りから何度か転職を試みたのですが、どこからもオファーを取れなくなっていました、、

さてこちらは何を意味するのか、というとこれまでシンガポール就労ビザを発行するのに企業が最低14万円高く支払わないと雇用できないということです。

それに伴ってより求人のレベルが新卒よりもマネージャークラスや一定のスキルセットを持った人を対象とするものに推移するというトレンドになっていきました。

つまり一定のスキルセットや経験がある方はこれからもシンガポールに増えてくるでしょうが、一方で新卒やまだその分野で経験や実績が浅い方にとって、シンガポールで働くというハードルそのものが高まったという印象です。

ポイントとしては(このような場面に遭遇したことがない前提で)たったの2年〜3年ほどでここまで海外就職の難易度が変わると実感がある方はあまりいないでしょう。おそらく実感がない方の方が大半だと思うので、あえて紹介しております笑

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こちらは先ほどのテーマと関連していますが、「いつその国に渡航するかの見極めとその国の今の市場の現状」を照らし合わせることが大切です。

補足で私なりの海外就職の解釈で、その国でその時に発展してきている産業を狙うと採用にいたりやすかったりします。

例として2020年当初はコロナ禍でオンライン化が加速してソーシャルメディアSaaSなどのソフトウェアのニーズが高まり、その頃はそういった求人に狙いを絞るなどです。

またシンガポールのようにコロナでも多くの優秀な外国人が渡航し始めることで、企業が就労ビザの提供をより厳選する流れとなっていました。そうなってくると競争が激しくなるので、ベストなタイミングとしてはそれが起こる前にその国に手をつけていくとスムーズにいきやすいでしょう。

ただその見極めが難しいのは百も承知ですが、あくまでマインドセットの共有が目的なのでそこはご理解を、、

まとめ

今回は3年住んでみたシンガポールで感じたことで分かった市場の変化について書きました。よくある誤解として、「海外はいつ移住や留学してもそんなに変わらない」と思っている人(→ 以前の私)がいますが、コロナ渦で変化のスピードが早まったのでそんなことはないです。

特にこの市場変化は若くてまだ海外慣れていない方やこれから海外移住をしようとしている方などには、ぜひ頭の片隅に置いてほしいマインドです。

また個人的には「その時のフェーズにそってどこにいって何をするか、が重要になり試されるようになった」と思います。

例: 直近の円安でアメリカに留学をするための費用は上がったけれど、現地で働いた場合は日本円に換算した給料は以前よりも増えているのでどちらを選ぶか

最後に今回の内容でシンガポール渡航するのが遅いということを言いたいわけではなく、あくまでコロナで市場の変化が加速したのでそういったところに目を向けて色々決断をした方がいいということです。