上田一輝|Ikki Ueda

「東南アジア」「海外旅行」「マーケケティング」を中心に発信。ベトナム・ハノイのマーケター/留学・海外大学進学のコンサルティング/旅人

「人生のフェーズと海外移住」の関係性について深掘りしてみた

自分に合った海外移住先を見つけるとは?

最近周りの友人になぜこれまでの移住先として私がシンガポールやオーストラリアを選んだのかを訊かれることがしばしばありました。

主に(海外に興味があるけれどあまり海外に行ったことがない)色々な方と話していると見えてきたよくある疑問点は、自分に合っている国がどこか分からないということです。

みなさんもいつか海外に住んでみたいけれど、どこの国を選べばいいか分からないという経験をされたことは一度はあるでしょう。

また、その国がいいと思って住んでみてもどこか肌に合わなかったといったミスマッチも防ぐという意味でも、この内容について触れていきます。

個人的に各々どこの国が適しているという質問に絶対的な回答はなくて、その人が何を目的としているかと人生のフェーズにが大きな要素となっています。

そのため、まず海外に行く目的が何なのか(留学や就労など)を掘り下げていくことから始めることをオススメします。

例えば個人所有の金融資産をある程度お持ちの方で、節税対策としてシンガポールやドバイに行かれる方は多いです。一方で海外移住では年齢も大きな要素となっていて、若い人にとっては出来るだけ将来の可能性を拡げられる国やエリアに行きたいと考える方も多いでしょう。

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今回は海外移住におけるよくあるパターンを3つに分けて、それぞれの目的に対してポイントとなるマインドセットについて深掘りしていきます。


1 英語の語学留学を目的とする場合

前提として、英語圏といってもオーストラリア、ニュージーランドアメリカ、カナダや英国など様々な国があります。私も以前その中でどの国で英語を勉強するかを考えたことがありました。

まず英語を勉強するにしても、英語圏の国でも雰囲気、文化や英語仕様(発音や方言がガラッと違うので、どれが個人に適しているかを考えることをオススメします。

私が英語を勉強する国としてオーストラリアを選びまして、その理由は「オーストラリアは世界的に幸福度が高い、のんびりした国民生で知らない人にもフレンドリーと治安がいい」という点です。

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もともと私はオーストラリアの国内大学に入学することも目標でしたので、上記の指標である「のんびりした国民生で知らない人にもフレンドリー」は特に重要だと考えていました。

というのも、外の人々がフレンドリーであれば知らない人とも英語を話す機会が増えて、それが英語力向上にもつながるとイメージしたからです。

こちらはあくまで個人的な例ですが、自分の今求めている要件を書き出しみて、その上で一番そのニーズと近い国を選択してみるとミスマッチが少なくなるでしょう。

また、特に若いうちなら一度その国が良いと思って移住して、途中で国を変えるもよくあり個人的に問題はないと思います。そのため実際に住んでみたけれどどうも肌に合わないといった場合も想定して国選びをすることで柔軟に対応ができるはずです。

2 海外にビジネスチャンスを見出す場合

こちらは海外で起業もしくは就労をしながら、その国で事業や仕事でのキャリアアップをしたい場合です。

ここでは海外のマーケットを大まかに先進国と途上国に分けていて、それぞれのマーケットはかなり異なります。
*ここでは主に東南アジアマーケットをメインとして、細い会社設立の要件はここでは割愛します

まず先進国においてシンガポールを例にすると、すでに国自体が整備されていて、質の高いサービスが整っている環境が特徴となっています。

また、シンガポールでは多くの日系企業が進出していまして、他の東南アジア諸国の中でも各分野の(優秀な)プロフェッショナルが数多くいるのも顕著です。

ここをもう少し掘り下げると、
若い人でも日本ではなかなか話す機会を持つことが難しいような立場(経営者や投資家など)や異なる職種の方と話すことができる可能性が高いということです。

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そのためシンガポールでは高いインフラ設備や(優秀な)プロフェッショナルが数多くいるいる環境でお互いのネットワークを広げることができる点が主な利点です。また、起業目的でシンガポールに来られる日本人も多くて、そういった方が集まるコミュニティも充実しています。

例)シンガポール和僑
様々なビジネスをしてる方を対象にお互いの交流やビジネスチャンスを探すことや人材育成を目的として香港で発祥したコミュニティ

sg-wakyo.com

 

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しかし、シンガポールのみならず米国などの先進国でも共通する課題として、コロナ禍での物価や不動産価格の高騰があります。イメージとしては東南アジアでは発展途上国であるほど、上記の値段は下がる形となっています。

下記のシンガポールの住宅の家賃の推移を例にしてみます。

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Release of 4th Quarter 2022 real estate statistics|Urban Redevelopment Authority

 

上記から分かるようにコロナ禍から急速に賃貸が上昇していて、シンガポールに住むこと自体のコストが高くなっていることが難点です。


一方で現在急速に発展してきている途上国のマーケットとしては、ベトナムインドネシアが挙げられて、よりビジネスチャンスやこれからの期待感は望めます。

例えばベトナムにおいてはすでに日系のメーカーの進出はなされているものの、直近では急速に新規事業件数が増えてきています。

2022年1月から4月までの合計で約4万9600社の新規企業登録がおこなわれて、同年4月には1万5001社が新規企業登録がなされている
*この推移は過去最多件数

 

VNEXPRESS

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個人的に先進国と比べても途上国ではマーケット全体の成長余地が高いのと国としての勢いや成長感も感じられる点が違いです。やはりこの点においては実際に行ってみて肌感覚で分かるところが大きいので、一度足を運んでみることもオススメです!

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ただし、東南アジアのマーケットで見た場合はシンガポール、マレーシアやタイでは公用語として英語が通じるものの、ベトナムインドネシアでは英語自体があまり通じない実態もあります。

また、まだ途上国はインフラも開発段階にあるため不便さ(公共機関が十分でないなど)はややあります。そのような環境下にビジネス上の可能性を感じるのか、すでにインフラがあるところの方が魅力があるかを一つの判断基準とすると良いです。

3 資産形成やリタイヤメントを目的とする場合

海外移住を資産形成やリタイヤメント目的で行く場合においては、個人的にはシンガポールは資産形成に適していて、タイやマレーシアがリタイヤメント向きの仕様になってきます。

前提としては個人の好きな国で資産形成やリタイヤメントをすることが理想ですが、こちらはあくまでビザや国の政策の仕様を前提として触れています。

まずシンガポールでは国内の銀行の金利の高さと金融資産へのアクセスから資産形成に向いていると言えます。シンガポール国内の3大銀行として、DBS銀行UOB銀行、OCBC銀行があります。

シンガポール国内の大手銀行であるUOB銀行の金利を例として見ていきましょう。

UOB銀行では月に$500ドル以上をカード決済して会社の給料をGIRO経由で振込みをされる前提の金利

月の平均残高が$30,000以上であると金利が3.85%から、$1,000,000以上であると最大金利が7.80%まで発生する

 

UOB One Account |UOB

このようにシンガポールの銀行では、日本の銀行と比べて格段と金利が高いので特にすでにまとまった資金を持っているほど資産形成に適しています。


ただし、(私のように)これから資産を形成していくフェーズであっても、早い段階でシンガポールの金融資産や金融システムにアクセスする意味があると実感しています。

というのも銀行口座の預金が数万ドルあれば、ある程度の金利(2~4%ほど)を発生されることは可能だからです。

なのでこれから資産形成をなしたい方にとっても、海外移住の軸の一つとして「資産形成」を取り入れるのも良いでしょう。

そしてシンガポールで銀行口座を持つことで加入できる現地の保険会社(PrudentialやGreat Easternなど)でドル建て定期外資預金などのプランもあります。現在の円安ドル高の傾向が強い恩恵も含めて、このようなドル建ての金融資産を持っていくこと自体も将来のリスクヘッジになります。

一方で海外移住を通してリタイヤメントを実現したい場合は、冒頭でタイかマレーシアがオススメとお伝えしました。その理由としては、上記の国では政府が一定のデポジットまた支払いをすることによるリタイヤメントビザを発行しているからです。

またリタイヤメントとは、現地で就労をせずにすでにある資金で生活もしくは投資活動で生活をすることを想定しています。

タイのタイランドエリートビザ

ビザの有効期限は5年から20年があり、年齢に関わらずタイに長期滞在や移住をすることができる。

例)有効期限5年(イージーアクセス):228万円(費用)
  有効期限10年(スペリオリティエクステンション):380万円

 

タイランドエリート|タイランドエリート

マレーシアのMM2H

ビザ申請のための金融資産額の旧条件は50歳未満で50万リンギット(50歳以上は35万リンギット)。21年10月からの新条件でのその額は150万リンギットに引き上げ。

 

MALAYSIA MY SECOND HOME (MM2H)|Immigration department of Malaysia


こちらのビザは全ての国が発行しているわけではなくて、国によってはリタイヤメントビザに値する制度自体がないこともありえます。なのでスキルや年齢に囚われにくいリタイヤメントビザを目的とする場合は、まずその国がそういった制度を設けているかを注視する必要があります。

まとめ

今回は海外移住を三つの目的別のパターンに細分化して見ました。これまで周りの海外移住に関心がある人たちと話していると、意外と「自分はこれを目的としているから、〇〇国に行くべき」と考えている人が少ないと感じていました。

実際に海外に行ってみないとイメージがしにくい点はあるからこそ、事前に自分が海外移住をする目的と行きたい国のビザ要件を照らし合わせてみることが重要かと思います!